2022年をXRニュースで振り返る

2022年も終わりに近づいてきました。今年は「メタバース」という新語が一般化したことにも表れるように、生活・ビジネスにおいてVRやARの実用化が一層進み、より身近な存在となった一年でした。そこで今回は、XRに関連するニュースを通して2022年を振り返ってみましょう。
Metaの挑戦と課題

このほど発表された2022ユーキャン新語・流行語大賞にノミネートされた「メタバース」。その周知に一役買ったのはMeta(旧Facebook)でしょう。同社は昨年2021年10月の社名変更後、VRへの積極的な投資で数々の話題を提供。名実ともに「メタバースのリーディングカンパニー」のブランディングに成功した印象があります。
新製品では今年10月、VRヘッドセット「Meta Quest Pro」をリリース。マイクロソフトとの協働によるVR空間でのTeamsやOfficeソフトの利用、仮想会議室「Horizon Workroom」など、とくにビジネス分野でメタバースのイメージを具体化する機能を充実させています。
また同社は、当コラムでも紹介した、触覚を再現する手袋型デバイスなど、短期での実用化を想定しない研究開発を進めており、私たちに「VRの未来」の姿を感じさせてくれます。
ただし懸念材料もあります。世界的な景気低迷によるITテック企業の投資縮小が取りざたされ、同社の株主総会では近年のメタバースへの投資に関し疑問の声も。マーク・ザッカーバーグCEOはメタバースの将来に強気の姿勢を崩していませんが、遠大な構想と現実の挟間で、難しい舵取りとなりそうです。
VRヘッドセットの競争が激化

2022年は前出の「Meta Quest Pro」のほか、9月に発表されたPico Technologyの「PICO 4」など、ヘッドセットの新製品がリリースされました。既存のMetaの「Meta Quest 2」、マイクロソフトの「Windows Mixed Reality」、Valve Corporationの「Valve Index」、HTCの「Vive」などとともに、世界的にシェア争いは激化しています。
そして11月に話題をさらったのが、ソニーインタラクティブエンタテインメントが来年2023年2月の発売を発表した「PlayStation VR2」。「メタバース」の世界観を最も実現している感のあるゲームの分野での、大型の新製品に期待が集まっています。
また、有名企業のフラッグシップとなるハイエンド製品のほか、世界中の大小様々なメーカーがスマホ装着タイプ、パソコン接続タイプ、スマートグラスなど様々なタイプのデバイスを開発しています。人々の潜在的なニーズに手当てする絞り込んだ機能で、XRの用途そのものを開拓するようなイノベーティブな製品の登場が期待されるところです。
本命Appleの独自路線?

近い将来、VR事業への参入が予想される注目企業として挙げられるのがAppleです。今年7月、同社がMR(複合現実)に関する複数の特許を取得したというニュースが誌面を飾りました。報道では、来年にMRヘッドセットやARグラスを発売予定との情報もあります。
関連してたびたび話題となったのが、同社ティム・クックCEOの「XR観」です。「メタバースは一般人には理解できない」など、メタバースに懐疑的ともとれる発言の一方、AR、MRの可能性には大きな期待を表明しています。AppleがXRにいかなるアプローチをしていくのか今後も目が離せません。
2023年もXRは話題の中心に
黎明期にあるともいえるXRの可能性について、その評価は様々ですが、私たちの周囲を見渡せば、生活・ビジネスにVR・ARが着実に根付いていることにも気づきます。
当コラムでは、製造業、建設、不動産、教育、小売など様々な業種でのVR、ARの活用事例を紹介してきました。業務ソリューションとしてXR関連サービスを提供する企業も増えています。2022年は単なる「流行語」ではなく、多様な分野でXRの存在感が増した一年でもあるのです。
来年も、XRに関する製品・サービスの普及がさらに進むことは間違いありません。当サイトでも引き続き、最新情報を取り上げていきますのでご期待ください。