VRスキルは就職・転職で高評価。注目の資格は?

現在、多くの業種で活用されているVR。関連スキルを持った人材は、就職・転職市場においても大きな注目を集めています。
そこで今回のコラムでは、就職・転職シーンで、VRスキルを活かすために抑えておきたいポイントや、スキルを担保するための資格などについて考察します。
基本スキルとしてのVR

「VR関連業種」として多くの方が考える職種は、ITテック企業やシステム開発企業、ゲームなどコンテンツ制作会社で働く、エンジニアやデザイナーなどの専門職があります。
このような高度人材の採用では、使用言語やソフト、過去に携わったプロジェクト、学識や制作物のポートフォリオなどが注目され、いわば専門家同士のマッチングが行われます。
しかしVRのスキルが求められるのは高度技術者だけではありません。ITとは一見関係のない企業、または一般職、営業職などの職種にも、VRは日常業務に入り込んでおり、関連するソフト・ハードを使いこなす人材の需要があります。
例えば不動産会社では、VRを使った物件の内見・内覧を導入する企業が急激に増え、部屋の簡単な撮影と画像加工を行う業務は日常業務となっています。
その他メーカー、サービス、教育、医療など多様な業種で、展示会や広告で使う3D画像の作成、VRグラスを使ったオペレーション、会議、プレゼン等々の業務が行われています。
現在使用している会社のみならず「導入を検討している」「興味はあるが何をしてよいかわからない」といった、潜在的な需要が大きいことも見逃せません。
必要なのは「VRはITの基本スキルである」という視点です。履歴書・職務経歴書の「使用ソフトウェア」などの欄に記載するWordやExcel、PowerPointのように、3D制作ソフト、VRグラス等ハードの使用経験を当たり前に書く時代になりつつあるのです。
まずは、志望する会社および業界で、どのようにVRが使われているのか調べ、必要と思われるスキルを補っておくとよいでしょう。
VR技術者認定試験などの資格に注目

就職・転職シーンで、能力の担保として利用されるのが資格です。VRのスキルを示すには、各プログラミング言語の認定資格、グラフィック系であればIllustratorやPhotoshop能力試験、CGクリエイター検定などがあり、実際に行う業務に近い内容の資格を取得するのが有効でしょう。
VRに特化した資格は現在多くはありませんが、日本バーチャルリアリティ学会が認定する「VR技術者認定試験」があります。VR技術者認定試験は、VR技術に関する基礎理論(セオリーコース)と、VR技術の応用(アプリケーションコース)があり、VR/AR/MRの定義から歴史、脳神経科学の基礎、デバイス、ソフトウェアの類型や機能、未来の可能性など「バーチャルリアリティ学」の体系的知識が問われます。過去に出題された問題は同学会のホームページで公開されています。
この資格は、特定の仕事の能力を担保するものというより、VRを体系的に学んだ経験と知見を示すものといえます。プログラミングやグラフィックなど自らが持つITスキルとVRを関連付け、俯瞰して考える視点を持つためにも有益な資格ではないでしょうか。
なお今後、VR制作ソフトのベンダー系資格など、就職や転職市場でスタンダードとして評価される実務資格が出てくるとも考えられますので、注目しておきたいところです。
「VRスキル」の自己評価を

VR業界はいま、ダイナミックに動いている時期です。スキルの評価基準は確立しておらず、求職者にとっては、何をすべきかわかりにくい面もあります。
しかし、これはある意味チャンスとも言えます。業種によっては評価のハードルは低く、ちょっとした経験でも目に留まる可能性があるからです。
例えば「3D映像を趣味で作ったことがある」「前職でVRグラスを使う業務があった」、あるいは「VRゲームをプレイしている」といったレベルのことであっても、相手に「刺さる」可能性があります。
自分の「VRスキル」を改めて洗い出し、アピールする方法を考えてみてはいかがでしょうか。